健康経営優良法人認定制度とは何ですか?

キャリアと制度

ブログをご覧いただきありがとうございます。

最近、社員が辞めてしまった後になかなか次の人を採用できないという話をよく聞きます。
やはり「辞めずに働き続けられるような取り組みが大事なんだね」と経営者の方も変わってきているように感じます。

また、今働いている従業員が心身ともに健康で高いパフォーマンスを発揮できる環境をどう作るか、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?

そこで注目したいのが、「健康経営優良法人認定制度」です
前に、中小企業のPRに役立つ認定制度活用ガイド でもご案内をしました。

これは、単なる福利厚生ではなく、従業員の健康管理を経営的な視点から捉え、戦略的に実践することで、結果的に業績向上や組織活性化を目指す取り組みです,。

この制度について、「何をすればいいのか」「費用対効果はどうか」といった疑問をお持ちのみなさまに、分かりやすくその意義と具体的なヒントをお伝えします。

健康経営優良法人認定制度とは?

「健康経営優良法人認定制度」とは、経済産業省と日本健康会議が共同で推進する顕彰制度です。優良な健康経営を実践している企業を国が「見える化」することで、従業員や求職者、金融機関などのステークホルダーから社会的な評価を受けられる環境を整備することを目的としています。

法人の規模に応じて「大規模法人部門」主に大企業が対象で、上位は「ホワイト500」)と
「中小規模法人部門」中小企業が対象)の二つに分かれています,。

中小企業トップランナーの証「ブライト500」

中小規模法人部門において、特に優れた取り組みを行っている上位500社には「ブライト500」という称号が与えられます。

ブライト500は2021年に始まった、中小企業を対象とした比較的新しい制度ですが、認定されることは、自社の優れた健康経営を対外的に示す大きな価値となります。

中小企業が認定を目指すべき理由(メリット)

健康経営優良法人に認定されることには、特に人材や資金面で課題を抱えることの多い中小企業にとって、大きなメリットがあります。

(1)採用力・定着率の向上と企業イメージアップ

認定を受ける最大のメリットは、企業のイメージアップと優秀な人材の確保に直結することです,。

社会的信用の獲得
認定されると、名刺やホームページなどに「健康経営優良法人」のロゴマークを使用できます。
これは、従業員の健康を大切にする企業であることの客観的な証となり、第三者からの信用や評価が高まります。

人材が集まる
求職者にとって、企業の健康への取り組みは就職先・転職先を決める重要な要素となっており、心身の健康を保ちながら働ける職場を望む人が多いことが分かっています。
認定を受けることで、優秀な人材が集まりやすくなり、経営の安定にも繋がります。

(2)生産性の向上と経営の安定

健康経営は、長期的に見て業績向上と組織活性化をもたらす「健康投資」です。

パフォーマンス向上
従業員が心身ともに健康な状態で仕事に取り組むことで、作業ミスや判断ミスが減り、個々のパフォーマンスや組織全体の生産性が向上します。

離職リスクの軽減
従業員の健康管理や相談の機会が増えるため、健康上の理由による休職や早期離職を防ぐことができます。

(3)補助金や融資における優遇

国や自治体、金融機関等からの具体的な優遇措置も魅力です。

補助金の加点
健康経営優良法人に認定されていると、一部の補助金申請時(例:ものづくり補助金など)に加点措置の対象となるため、採択率が高まるメリットがあります。

融資の優遇
日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」において、優遇された利率が適用されます。
特にブライト500認定法人は、より有利な特別利率の適用対象となります。

認定までの道のり(何をすればいいのか?)

健康経営優良法人の認定は、決してハードルが高いものではありません。
まずは、戦略的に取り組むための土台作りから始まります。

(1)基本となる認定要件

中小規模法人部門の認定基準は、主に以下の5つのカテゴリーに基づき、細分化された評価項目を満たすことが求められます。

1. 経営理念・方針
健康宣言の社内外への発信、経営者自身の健診受診など(必須)。

2. 組織体制
健康づくり担当者の設置など(必須)。

3. 制度・施策実行
従業員の健康課題の把握、ヘルスリテラシーの向上、具体的な健康保持・増進施策(食生活、運動、女性の健康、メンタルヘルス対策など)、受動喫煙対策など。

4. 評価・改善
取り組みに対する評価と改善を行うこと(必須)。

5. 法令遵守・リスクマネジメント
定期健診の実施、労働基準法・労働安全衛生法の遵守など(必須)。

中小規模法人部門の通常の認定では、必須項目を確実に満たした上で、15項目中7項目以上(2025年度要件の枠組み参照)を達成することが必要です。
ブライト500を目指す場合は13項目以上の達成が求められます。

(2)「意味がない」を乗り越えるために

認定を「形だけ」のブランディングで終わらせず、意味のある取り組みにするためには、以下の点が重要です。

目的の共有
経営層が率先して健康経営の目的(なぜやるのか)を従業員全員に伝え、理解を深めてもらうことが不可欠です。

主体的な参加
従業員が「やらされている」と感じないようにすることが求められます。
例えば、インセンティブ(奨励グッズややりたい!と思えるような動機付け)を付与したり、楽しみながら健康を目指せるイベントを企画したりなどですね。
従業員が積極的に取り組みたくなるような仕組みを作ることが成功の鍵です。

💡3つのヒント

健康経営が気になってきた!またはこれから始めてみたいと思う方へのヒントです。

1.まずは小さな一歩から始める
初期は費用のかからないコミュニケーション促進策や、健康増進に向けた施策の事例(例:スポーツイベントの企画、フィットネスタイムの導入など)を参考に、実行可能な小さな一歩から継続的に始めてみるのはいかがでしょうか?

2.「従業員の声」を具体的な施策に反映させる
従業員へのヒアリングを通じて現状の健康課題を把握ことが次のステップ。
それに基づいた具体的な計画を立ててみましょう。
「健康を気遣うコミュニケーションが増えた」など、社内のポジティブな変化も見つけるのも良いですね。

3.認定要件を「自社の成長ロードマップ」として活用する
健康経営優良法人の認定要件(15項目)は、自社が健康経営を体系的に進めるためのチェックリストとして活用できます。
まずは通常の認定(7項目以上)を目指しましょう。
これを「我が社の成長ロードマップ」として活用できれば、明確な目標ができます。