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先日、エンゲージメント(満足度)の高い組織の話をしていたときに、ある所長さんのお話をうかがいました。
組織内でのエンゲージメントサーベイ(満足度調査)で高評価を取られています。
実際に評価シートを拝見したのですが、見事な数字が並んでいました。
そこでさっそく、どんな秘訣があるのかをうかがってみました。
全国にある営業所の中でも、トップクラスの成績。
周りの方からも羨ましがられるようですが、最初からそうだった訳ではありません。
新卒で入社した若手を鍛える所長自身もお若い方です。
どのようにマネジメントの工夫をされているのか?
何かのヒントになりましたら幸いです。
観察から始まる信頼の土台
営業所の責任者として、日々のマネジメントで最も大切にしていることは、観察です。
部下一人ひとりの動きを注意深く、細部にわたって見つめること。
これが私の考える指導の第一歩となります。
ただし、観察はするものの、すぐに口出しはしません。
心の中で状況を把握し、取るべき対応を判断する。
本当に指導が必要なポイントを見極めるまでは、静かに見守る姿勢を貫きます。
これは、部下への信頼の証であり、自律性を促すためでもあります。
先回りして築く 万全のサポート体制
部下が仕事で困ったことに直面し、相談にきたとき、私は常にその出来事に関してすべてを把握している状態を目指しています。
具体的には、クレームや問題が発生した際、相談を受ける前にウェブ上のクラウドシステムなどを使って、以下のような準備をしています。
・事実の把握: どのような経緯でお客様にクレームが発生したのかを詳細に調査。
・解決策の準備: 事前の情報に基づいて、最も適切で効果的な解決策を複数、頭の中でシミュレーション。
相談を持ちかけられた際には、「初めて聞きました」という事態を避けるために「あなたのために、すでに準備ができている」という状態で回答や指導を行います。
この先回りした準備が部下が安心して仕事に取り組める、万全なサポート体制の要となります。
問題解決のスピードと精度が上がり、部下の信頼感も高まります。
問題を未然に防ぐ 事前の指導・助言
私のマネジメントでは、問題が起きてから、感情的に叱責したり、怒りをぶつけたりするような指導は行いません。
重視しているのは「事前の指導や助言」です。
日々の観察を通じて、全体を見渡す中で「これは将来的に問題につながるかもしれない」という注意すべき点をあらかじめ見つけ出し、問題が大きくなる前に指導を行います。
これにより、大きなトラブルの発生を未然に防いでいます。
万が一、大きな問題が発生した場合でも、部下は隠すことなく、全てを正直に伝えてくれます。
日頃からの信頼関係をもとに、この「風通しの良さ」を保つことも、責任者の重要な役割です。
権限移譲と「信じて任せる」マネジメント
営業所の運営において、私は自分の部下である責任者たちに、基本的な仕事を任せています。
その際も、過度に口出しすることは避け、「信じてやってもらう」ことを基本方針としています。
この「信じて任せる」姿勢は、以下のような効果を生み出します。
・自立的な組織: 私が不在でも、仕事が滞りなく回る組織体制が確立されます。
・責任感の醸成: 任された責任者たちは、その責務を果たすために自ら考え行動します。
組織全体への波及: 責任者が責任感を持って業務にあたると、その下のメンバーにも自然とその意識が伝播し、組織全体が自律的なサイクルに入っていきます。
成功事例を惜しみなく伝える
営業成績に関する指導においては、私がこれまで経験してきた成功事例を惜しみなく、すべて伝えています。
これは、単なる知識の共有ではなく、具体的に「どうすれば結果が出るか」という再現性の高いノウハウを提供することです。
もし、それでも理解できない、実践できないという部下がいれば、同行して実際にやってみせます。
「やってる姿」を見てもらい、そこから学び取ってもらう。
この指導法は、部下が100%私と同じ成果を上げられなくても、50%の成果でも上げられるようになれば、新人にとっては相当なレベルアップになります。
その一人ひとりの着実なレベルアップを積み重ねることを意識しています。
全体を引き上げる「最大値へのアプローチ」
私のマネジメントの最大の特徴は、できる人にもできない人にも、同じように厳しく接することではなく、むしろ「できる人」の方に、より厳しい指導をすることです。
これは「できない人を引き上げて、できる人に追いつかせよう」という発想ではありません。
私の仕事は以下の両輪で全体を引き上げることです。
・できる人をさらに引き上げる。
・できない人も引き上げる。
そして、最終的に組織全体の最大値を上げていくことです。
多くの指導者が「できない人」を叱ることが多い中で、私はあえてそのような指導はしません。
なぜなら、最も能力の高い人の「最大値」が上がれば、事業所全体のポテンシャルが最も高まるからです。
レベルに応じた個別指導
指導は、その人のポジションや、現在できている範囲を考慮し、一人ひとりに合わせて行います。
・全体を見渡す
・よく観察する
・その人のレベルに合った指導を心がける
これが、私の個別指導のスタイルです。
常に一人ひとりの最大値に合わせた厳しい指導を行うことで、組織全体の底上げと、持続的な成長を実現しています。
まとめ
私のマネジメントは、徹底した「観察」から始まり、先回りした「準備」と「事前の指導・助言」で問題を未然に防ぎます。
そして、権限移譲と成功事例の共有を通じて、部下自身の自律的な成長を促します。
特に、最も能力の高い人に厳しい指導をすることで、組織全体の最大値を高めるという独自の哲学で、今日の事業所運営を支えています。

