生産性を高める「休み方」とは?

キャリアと制度

ブログをご覧いただきありがとうございます。

最近、「働き方」だけではなく「休み方」も大事なのではないか?と感じています。

人手不足や目の前の忙しさの中で、休むことは後回しにされがちかもしれません。
経営者の方からすると、もしかしたら「休みを増やすのは、生産性を下げることではないか」
「今の状況で、どうやって休ませろというのか」と、不安を感じていらっしゃるかもしれませんね。

ただ、現場を見てきたからこそお伝えしたいのは、ちゃんと休める会社は、ちゃんと成果が出る
ということです。

本記事では、休むことは「甘やかし」ではなく「経営戦略」につながることをみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

疲労の正体⇒休むことは「経営戦略」につながる

疲労は熱や痛みと同じく、体からの重要な警告(サイン)です。
日本人の約8割が疲労を抱えているというデータがあり、私たちは世界と比べて特に「休み下手」だと言われています。

疲労を軽視し、無理をして働き続けてしまうと、どうなるでしょうか?
長時間労働が慢性化している部署ほど、退職、メンタル不調、ミスの増加が目立ちます。

さらに、労働基準監督署の調査が入った場合、70%もの会社が法令違反を指摘されるという厳しい現実があります。

特に時間外労働に関する法令違反(残業代の未払いや上限超過など)が最も多く、労働時間の適切な管理は、経営の土台を揺るがしかねない重大なリスクです。

私たちは、単に疲れているから休むという「守りの休養」から、次の活動をより躍動的に行うための積極的な準備期間として休養を捉える「攻めの休養」へと意識をシフトする必要があるのではないでしょうか?

休みは、従業員のキャリア、健康、家族、学びを支えるための大事な投資なのです。

「倒れてから」ではなく「倒れる前に」休める仕組みへ

多くの企業で、有給休暇の年5日取得義務はクリアできていると思いますが「結局、現場の空気は変わらず、休みにくいまま」という悩みを抱えている場合も多いようです。

また、「制度は整えたのに、休みにくい現場はなかなか変わらない」という現実もあります。
この現状を変えるための具体的なステップは、まず「休ませる仕組み」をデザインすることです。

1. 現状の「休み方」を見える化する
まずは、自社の働き方の「リアルな実態」を数値で把握しましょう。
有休取得率や残業時間、離職率、休職状況といったデータを集め、どの部署の、どの層に、休みに関するボトルネックがあるか」を特定します。

例えば、「この部署は特定曜日に負荷が集中している」「子育て世代の有休は家族対応にほぼ消えている」といった、今まで見えていなかった具体的な課題が明らかになります。

2. 法律と現場をつなぐ「使えるルール」を整備する
法令を守ることは当然ですが、その上で、就業規則などの規程と現場での運用の間の溝を埋めることが重要です。
例えば、有給休暇の半日単位や時間単位での利用を明確化すること、計画年休や有給奨励日を導入し、休みを「なんとなく取るもの」から「事前に決めて取るもの」へと変えていく方法が有効です。
これにより、「規程はあるのに休みにくい」という状態を解消し、会社としての方針を分かりやすく伝えることができます。

3. 「休ませるマネジメント」を育てて空気をつくる
制度が整っても、現場の「休みにくい空気」が残っていては意味がありません。
管理職には、ハラスメントリスクや安全配慮義務の観点も含め、「倒れてから」ではなく「倒れる前に」休めませるスキルを学んでもらうことが重要です。

また、従業員側も、休む前のタスク整理や引継ぎの基本を身につけ、有休を「自己成長や家族のための大切な時間」として捉える意識を持つことで、職場全体に「お互い様で休める空気」を育てることができます。

休み方を戦略的に設計することは、社員の健康と意欲を守り、結果的に「人が辞めない会社づくり」につながります。
そして、休み方を大切にする会社として社外に発信できるようになれば、人材確保が難しい時代における採用広報にも活かすことができるようになると思います。

💡3つのヒント

生産性向上のための「休み方」設計を始めるために、まずはこの3点から着手するのはいかがでしょうか。

1. 現状の働き方・休み方を「見える化」する
有休取得率、残業時間、離職率、休職状況などのデータを集めて分析することで、法律上のリスク(法令遵守)と生産性低下につながるボトルネックを同時に把握できます。
これにより、「どこから手を付けるべきか」が明確になります。

2. 「使える休暇ルール」を現場目線で整える
年次有給休暇の確実な取得(年5日義務)に加え、半日単位・時間単位の休暇制度の利用促進や、計画年休制度を活用することも考えてみましょう。
従業員が遠慮なく休むことができる「小さな仕組み」の導入がカギになります。

3. 双方が「生産性を高める休み方」の意識をもてるようにする
「この忙しい時期に?」といったネガティブな言動をなくしたいもの。
管理職には「休ませるマネジメント」を、従業員には休むことを「キャリア・健康のための戦略的な行動」と捉える研修やワークを実施し、職場全体で「お互いさまで休める空気」を育てることが、定着とパフォーマンス向上につながります。