前回に引き続き、英語教師歴40年の小河先生に5回に分けてお話をうかがっています。
①先生の英語学習について
②お子さんのおうち英語
③英語教員歴40年で分かってきたこと
④小学校の授業を見学して
⑤小学生の保護者に向けて英語のアドバイス
②2回目の今回は、お子さんとのおうち英語のエピソードです。
具体的な本や映画など参考になりそうですね。
息子さんはいつから英語に触れ始めましたか
生後10か月です。その頃100万円もする英語教材の訪問販売があり、私は断ってしまったのです。
でも、それでよかったのか?気になったので、自分のできることはしてあげようと思いました。
milkはミオクと言って、Lの音を意識できるようにしました。
色の名前や図形の形を英語の言い方で当てっこしました。
日本語にはない音のつながりにも意味があるらしいくらいは伝わったと思います。
どのように進められたのでしょうか
英語の歌やアニメを繰り返し、一緒に楽しみました。
ディズニーはターザンから。なにせ動作が中心ですから。
絵本は、おさるのジョージ・はらべこあおむし・きかんしゃトーマスなどの定番です。
5歳のとき、私の海外研修の中間休みに夫と息子がイギリスに会いに来ました。
今思えばたった10日間ですが、早めに英語を使う環境に身を置くことができましたね。
ロンドンの自然に博物館で恐竜の展示が気に入りました。
買ってあげた本をじっと見ていました。
リアルの世界と英語を結びつけることが我が家の「おうち英語」の特徴かもしれません。
いくつかのやり方は、12/12発刊の「気がつくと子供の英語の力が伸びている『おうち英語』」(Gakken)の中でも紹介しています。

小・中・高時代の具体的なサポートがあれば教えてください
息子が小学校の頃は共働きの生活との両立に精いっぱいで「勉強」としての英語をフォローした記憶はありません。
英語の絵本の読み聞かせは小学校3年生くらいまで続けました。
その後、自力で読むとなると文章はまだ厳しくて、ピクチャーディクショナリーを時々眺める程度でした。
中学校では学校の宿題として渡されるホームリーダーをちゃんと読むように働きかけたくらいです。
巻末の問題を一緒に考えたりしました。
高校では英作文の添削を少し手伝いました。
あとは、単語が足りないと本人が言い出した時に効率的に学べそうなものを勧めました。
「耳だけバイリンガル」の秘訣は何でしょうか?
どこかで私がそのような表現を使ったのを覚えていてくださったのですね。
ありがとうございます。背景を説明しますね。
英語音声(吹替なし)の日本語字幕で、アニメならピーターパン、ヘラクレス、ライオンキング、映画ならホームアローンやバックトゥザフューチャーなど、家族で楽しめるものを休日などに見ていました。
英語の教員としての仕事柄、ALTというネイティブの先生たちとの接点があったので、自宅での夕食などの機会を作りました。
小学校4年生のときに私が病気をしてしまい、最後のチャンスだったら、と大げさに考えた時期があり、カナダとアメリカに連れて行きました。
思い切り羽根を伸ばしたからか、自分の病気も快方に向かい、復職することもできました。
同年代の子どもと話してみようとするけれど、早口で言われるとわからないような状態でした。
小学校5年生の時に地域のサッカー少年団で国際交流の機会があったので積極的に参加しました。
短い単語でサッカーやポケモンの話などをしていました。
家での英語のインプットの効果が目に見える形で表れたのは中学校以降、英語のリスニングテストがほとんど常に満点でした。
英語音声独特の脱落や結合、チャンク、イントネーションの感覚、そして、ああいえばこういう的なセットフレーズの間合いが、自然に身に付いたのだと思います。
5.商社でのお仕事で英語はどのように役立っていますか
第二言語として英語を使う人たちとのコミュニケーションが自然にできているようです。
特に、インド駐在期に鍛えられたようですね。
わからないことは、わからないと言って何回も説明してもらう。
相手にも自分の言わんとすることを理解してもらえるように、説明の方法を工夫したり図解したりしていたようです。
今は、主にヨーロッパへの海外出張が多く、商談も英語でまとめられるようになりました。
これは、英語力のみならず、大きな意味での対人関係スキルが関係していると思います。
保育園や部活動など多様な人間関係の中でもまれてきたことが役立っている様子です。
