8月にインタビューさせていただいた英語教師歴40年の小河先生。
再度、今度は英語教育やおうち英語について5回に分けてお話をうかがっています。
①先生の英語学習について
②お子さんのおうち英語
③英語教員歴40年で分かってきたこと
④小学校の授業を見学して
⑤小学生の保護者に向けて英語のアドバイス
【小河園子先生のプロフィール】
40年以上の経験を持つ英語教師。埼玉県立浦和高等学校などで教え、海外で活躍する人材を多数輩出。定年後も大学で非常勤講師を務め、小中高の英語の教員養成にあたっている。地域の国際交流活動にも積極的に参加。英検1級、ケンブリッジ英検CPE(C2)など高度な英語資格を持つ
今の子どもたちが学ぶ英語は、親世代が学んでいた頃とは確実に変化している。
そう聞くとドキッとしませんか?
英語を学問ではなく、言語というコミュニケーションツールとして学んでいる点が大きな違いのようです。
8月の「高校から伸びていく子」の記事がとても好評!な小河先生は英語教師歴40年。
12月に「おうち英語」の本を出版されます。
悩める保護者の方に向けて、今回は英語教育を中心にお話をうかがってみました。
まずは①先生の英語学習について
英語の先生を選んだ理由を教えていただけますか
英語が比較的に得意でしたので、自分が世界と日本の架け橋になりたい、できれば外交官になりたいとも考えていました。
もう一つの国際共通語としてフランス語を学ぼうとしていましたが、うまくいかずに悩んでいました。
「英語だけでいこう」と決めました。
英語を毎日使う仕事は、男女雇用機会均等法以前の当時、国際電電の交換手や通訳。でも、瞬発力は苦手だなあとしばらく悩んでいました。
そんなときに、故若林俊輔先生の「これからの英語教師」という本を読み、東京外国語大学での学生向けの講演も聞いて、大いに感化されました。
“世界と日本の架け橋になるような人材を育てる英語の教員になりたい”と志しました。
小学校の教員(父は社会科、母は家庭科)であった両親の影響もあります。
母方教員家系の私は3代目です。
英語に興味を持ったきっかけは何でしょうか
5歳の時にアメリカから一時帰国した従妹(伯父の仕事の関係でアメリカ生まれ。両親は日本人です。)の話す言葉がちんぷんかんぷんでしたが、それが英語と知らされて、英語を学んでいつか話したいな、と思いました。
その夢は12年後にかないました。NY高校留学中のイースター休暇にフロリダまで会いに行きました。
話が通じて大感激でした。
高校のときに留学されたのですね
はい、17才、高校2年生~3年生にかけて、AFS高校生留学でアメリカNY州の現地校に留学しました。
ホストファミリーに11か月お世話になりました。
高校の最終学年(Class of 1978)に編入しました。
コミュニティサービスという授業があり、自分で行先を選べます。
わたしは小学校を選びました。
5歳児クラスでまだアルファベットが上手に書けない子供の個別指導を週一回手伝いました。
この時の経験が、12月12日発刊の「気がつくと子供の英語の力が伸びている『おうち英語』」(Gakken)の考え方のベースになっています。
例えば、ネイティブでもアルファベットに苦労する子がいるのですから、日本の小学生が習うなら、手元を見ながら親が教えてあげられたら、協同作業としても一番いいのかな?というように。
1978年の6月にアメリカの高校を卒業することができました。
同い年のホストシスター、リン・ナイキストさんとは今も親交があります。

仕事をしながら大学院で学ばれた時期も!
はい、40歳の挑戦です。
その5年前にイギリスへの英語教員派遣で6ヵ月学ばせていただきましたが、少し中途半端だったのです。
立教大学異文化コミュニケーション研究科で鳥飼玖美子先生に師事しました。
同期生との親交は今も続いており、特に小学校英語教育が専門の小川隆夫(おがわたかお)先生とは考え方が近く、励まし合っています。
最近も英語の資格にチャレンジされたとか
はい。ケンブリッジ英検です。最初はFirst Certificate(B2)を余裕でクリア。
次にCertificate for Advanced Englishをなんとかクリア。
最後のラスボスCertificate of Proficiency in English(C2)は1回目に2点足りず、2回目でクリアしました。
最初の英検3級からは50年かかっていますから感無量です。
今は、海外帰国子女も増え、おうち英語も盛んですから高校生でもB2やC1に届く生徒がいます。
ですからチャレンジしておいて良かったと思います。
ネイティブの先生にも「スピーキングの試験のコツは?」などと聞かれます。
ネイティブの先生は外語国語としての英語検定試験を受けたことがありませんからね。
「ポジティブな気持ちの表現としてhappyだけではなくdelighted(喜んでいる)、grateful(感謝している)などのバリエーションを入れると良いですよ」とアドバイスしたところ、「スピーキングの試験でも語彙力をみているのですね」とメモを取っておられました。
外国語として英語を学んだからこそ貢献できることがあると思い、日々、自分も学び続けています。
