高校から伸び続ける子どもを育てる5つのポイント

子育て・教育

ブログをご覧いただきありがとうございます。

夏休みは、お子さんとの関わりも密になってきますね。
早期教育が話題になることがたびたびありますが、ご家庭の考え方によってだいぶ違うかなという印象をもっています。

今回は、県立高校で40年の教師経験をお持ちの小河園子先生にお話をうかがいました。
あと伸びする子の育て方 = 高校から伸びていく子の特徴 
興味がある方も多いのではないでしょうか?

【小河園子先生のプロフィールです】

40年以上の経験を持つ英語教師。埼玉県立浦和高等学校などで教え、海外で活躍する人材を多数輩出してきました。定年後も大学で非常勤講師を務め、小中高の英語の教員養成にあたっています。地域の国際交流活動にも積極的に参加しています。英検1級、ケンブリッジ英検CPE(C2)など高度な英語資格を持ち、12月に商業出版を控えています。テーマは「親子で楽しむ英語の効果的な学習法」。商社マンとして活躍する長男を耳だけバイリンガルに育てた経験から日本の環境で可能かつ有効な英語学習について発信しています。

高校から伸びていく子の特徴を聞かせていただけますか

作文や宿題に関して、時間がかかる子は有望だと思っています。

計画的に1日何ページと進められる子は作業としてやっていることがありますが、時間がかかる子は、自分で深く考えている可能性があります。それを待ってあげると良いですね。

時間をかけたいだけかけさせてあげる。

例えば、我が家の場合は、夏休みの宿題で息子が工作、学習漫画などにはまった時期があります。
作文を書き始めたら細か書き過ぎて終わらなかったときもあります。

どのように見守っていましたか?

いつになったら終わるのだろうと思いながらも、納得がいくまでやらせてあげたい。
途中で投げ出すのは良くないから「あれはどうなった?」と途中経過を確認していました。

小3ときに原稿用紙30枚くらい作文を書いたことがあります。
直前にアメリカへ家族で旅行した記録でした。既にアメリカへ到着するまでに8ページ。

初めてのことばかりですべてが新鮮だったのでしょうね。
大人とは違うものさしを持っているから、それを大事にしたいと思っていました。

ついつい口を出したくなることも多いと思いますが、どう心がけて待つのが良いでしょうか

一つは、お母さんも何かやることですね。私の場合は、自分もジャーナルを書きました。
そうすると、詳しく書きたくなる気持ちが分かります。
自分が落としたり忘れたりしている情報も、子どもが一生懸命に書こうとしている。

でも、私も最初から分かっていたわけではないです。
目次をつけると良いよ、と教えようとしました。

でも途中からこれは無理だと諦めたのです。したいようにさせようと。
上手に諦めてペースを合わせる、同じ事をやってみてやりたくなる気持ちを理解してあげるのが良いと思います。

もう一つは「達成感を味わう」経験を大事にすることです。
一夏に一つでも良いから「これを頑張った」と思える達成感があると、子どもはそれを思い出して伸びていきます。

我が家の場合は、家族でよく湖の側でキャンプをしていていました。
そこでたまたま釣り竿を持たせて、使い方を教えてみたら気に入って、自分でもやりたい!と始めたのですね。

そこで魚が釣れたのは5日目。
5日目の朝にようやく釣れたのです。

4日間、諦めなかったから釣れた。
その経験は、おそらく今も仕事に活きています。

そのとき、母として心がけたのは3つです。
手伝わない、せかさない、その努力をバカにしない。

そりゃ、まだ釣れないの?まだやっているの?と言いたくなりますよ。
でも、自分からアクションを起こしているのが嬉しかった。

西洋のことわざで「魚の捕り方を教えなさい」とありますが、あれに近いですね。

当時そこまで意識していたかというと結果論になりますが、自分からアクションを起こすのは、とても大事だと思っていました。

自分からアクションを起こせる子が伸びるということですね。

そうです。自分からアクションを起こして、自分なりの目標達成まで繰り返せる子が伸びますね。

今のお話から小学校時代がベースになっているような気がしますね。

そうです。なぜなら自分の行動を自分で決めようとする時期だからです。
小学校の低学年までは親が促して、ついてくるケースが多いと思います。

もちろんその時期も重要で、そこである程度のパターンを教えてあげる。
9~10歳位からは行動でも考え方でも主体性を持ち、自分から動くのが大事になります。

高校で伸びてくる子は、スポーツでも遊びでも、自分で選んだことをとことんやった子です。
高校生で自分の立ち位置が分かり、やりたいことが分かると頑張れます。

自分で選んだことをやる。
それは高校3年生辺りで顕在化してきますが、実は幼児からの見守りが大事です。

「どちらでも良いことを子どもに選ばせていますか?」と問いかけたいですね。
例えば、何色の靴下を履くか?など身近なことから始めると良いですね。
飲み物・食べ物・洋服・傘などすべてです。

一例として、2つの靴があるとします。
今日はどっちを履く?と聞いても、子どもは間違えてしまう場合があります。

雨が降りそうなときに雨靴を選ばなかった。だから、我慢して結果までかみしめてもらう。
足がずぶ濡れになった、という子どもなりの後悔をしてもらうのです。
次の雨の日には「どっちが良かったかな?」とヒントを出しても良いかもしれません。

もう一つ例を挙げると、出かけるときにどのおもちゃを持って行くか?です。
大きければ重たくなり、帰りは当然荷物になります。
重い荷物を自分で持たなければならないわけです。

そうすると、次からは最後まで自分で持つならこれが良いと決めることができるようになります。
選択は条件とセットなので、そこを考えられる機会をつくるのがポイントです。

もったいないのは、親が選び条件を考えると子どもは楽をしてしまうことです。
条件に気がつくのは後からでも良い。
まずは自分で選んで最後まで結果を見届けることが大切です。

そのときに、「雨が降ってきたから靴が濡れちゃったね」
「重かったね、ここからお母さんが持って行ってあげようか」
と結果を敢えて言語化します。

大事なのは、責めずに事実を言語化することです。

そして、本人も納得した上で「(雨で靴が濡れたから)帰りはバスで帰ろうね」
「(重いおもちゃで)持ちきれない。じゃあ今回は特別にお母さんが持ってあげよう」など、次により良い選択ができるためのヒントをあげることです。

それは単なる○×とは違う声かけであり、この積み重ねが大切になります。

大人も間違えることもあれば、失敗もしますね

例えば、バイキングで取り過ぎ食べ過ぎたことはありませんか?
そういった失敗を敢えて、親同士の会話でも入れてみます。

選択を間違えることは、日常生活の中で往々にしてありますからね。
大人だって間違えますから、なるべく要因分析をして次からはこうしよう!の内容までセットで修正した見本を見せる。
「バイキングは1回だけ取りに行こう!」などです。

こういった与えられた条件下でベストな選択をする癖がついている子は、勉強ができるようになります。
なぜなら、ベストな選択は何か?を勉強に当てはめるだけだからです。

勉強は、与えられた条件の中でベストはどれかを自分に問い続けるしかありません。
おそらく1%の天才以外は。

遊んでいる中でも、自分なりの選択を小刻みにやっていた子の特徴を挙げてみます。
勉強しなきゃいけない場面で、自分事として

①明日までに何をやるか?
②今はこれできるか?
③どこまでやっておくか?   が考えられます。

大人の目から見ると、タスク管理ができているタイプです。
受験勉強は、ある意味究極のタスク管理とも言えますね。

大事なときに納得がいくタスク管理ができるためには、幼い頃からの小さな選択と小さな失敗の繰り返しが重要です。
それをどうでも良いときにやっておくと、いざというときに大きな間違いをしないような気がします。

確かに親は大きな間違いをしてほしくないと思っていますね。

そう、だからこそ転ばぬ先の杖で早くヒントを出してしまうことも非常に多いです。
例えば、先ほどの例で言うと「今日は雨が降りそうだね」や「こっちの(おもちゃ)の方が軽いね」の言葉がけですね。

実は、ヒント出しは早すぎない方が良いです。
よくできたお母さんほどヒント出しが早すぎると思います。

子どももそれに乗っかって、結果オーライになります。
そこでお母さんへの信頼感は高まりますが、高2あたりでお母さんのヒントは届かなくなります。

いよいよ次はラストです。

自分でできるようする時期がポイントでしょうか

自分で周囲の状況からヒントを読み取れるようにしていく。
最後までヒントを出さないのではなく、本当に困ったら聞ける状態にしておく。

その距離感が大事です。
先に言わない代わりに、本人がどうしたら良いか?と言語化して聞いてきたら、正解の答えをあげる。

私も子どもに教わった気がしますが、「お母さん、頼むから、言われたことだけをしてください」と切実に言われたことがあります。要するに、先回りはしないでほしいと。

ちょうど高2の夏頃です。その時期は、私の想定範囲を完全に追い越していました。
男女の違いもありますが、息子が見ている風景と私が見ている風景が違ってきた時期です。

ヒントはギリギリのつもりでも、つい言ってしまうじゃないですか。
その癖は残っているので、言われたことだけやるのは難しかったです。

同時に、言われたときに瞬時に正解に近い答えを言ってあげない2度と聞いてくれないと思っていました。

生意気である意味反抗期。思春期の頃はナーバスだから親との会話も少なくなります。
ちゃんと信頼に応えないと次がない。

求められたときに結果を出すためには、やはり予想を立てておきます。聞かれるかもしれない内容を推測し、私は答えられるだろうか、調べておかなきゃと考えていました。

いつ聞かれても良いように準備をしていらしたのですね。例えば、どのような例がありますか

英語で言えば、単語はどうやって覚えるのか?に対しては具体的にはコンパクトですぐ終わりそうなテキストを渡しました。
「こうしたいけれどどうしたら良いの?」と聞かれたときは、3つくらいの選択肢を用意しておくのがベストです。

ある程度自我が成長しているので、選択肢はあった方が良いと思いますね。
一つは、自分の専門分野においてはいつも以上に情報を整理しておく。
もう一つ、自分の苦手な分野は複数のお母さん達から聞いておく。

コツは今日聞いた話を、直接は言わないことです。
「みんなどれくらい勉強しているのかな?」と聞かれたときに、応えられるよう親は情報を集めておいて、その子用に編集しておく。
ニュースと同様に、整理して見出しをつけ、必要なときに伝える。


子どもが勉強しなきゃと集中するためには、外野の情報は多すぎない方が良いです。
だから事前に集めておき、伝えた際には子どもにも分かります。いろいろ調べた上で精選して答えてくれているのだなと伝わりますね。

ただ、それは今ネットの文化で20年前とは違うかもしれません。
子ども自身も、分からないことはすぐ呟いて、分かりやすい答えにいきがちです。

そういうときに、この情報はどうだろう?とその情報の真偽、影響などネットリテラシーまで含めて、を親子で会話できると良いですね。

そのための長い助走を小学校の時期からしているのが今の子たち。
親御さん自身もネットリテラシーの知識を持ち、情報を鵜呑みにしないことが重要になります。

親が言葉にしたことに子どもは直接影響を受けることも多いですね。何か具体策はありますか

まずは一晩寝かせてすぐには言わない。それだけで全然違うと思います。
後は、友達に聞く方法も良いですね。そのうちにだんだんとネットの情報も取り扱いが分かってくるのではないでしょうか。

電話や対面で聞いてみて、冷静になれる空間を持つことで、子どもにもアドバイスできます。
子どもにもありのままに伝えて良いと思います。

一つの記事があり、複数の人に聞いたら違う反応が返ってきた。そのプロセスを伝えることで、子ども達もある事柄に触れたときにどう対処すれば良いかが分かってきます。

その前提として、人にはいろいろな考えがあることも理解できますね。

勉強法にしても、自分の周りの友達だけではなく同じ部活だけど一番勉強ができる子や、やってないのにできる子に聞いてみる。できれば異質の考えの人や、敢えて年代や性別の違う人の意見を聞くのも一つの方法です。

常識の違う人の考えを聞いてみることは、グローバルで活躍するために必須の考えの一つでもあります。
今までのところをまとめると

·  自分で選ぶ力をつける
·  繰り返し挑戦する力をつける
·  深く考える力をつける
·  自分なりの目標を達成する力をつける
·  その過程を親が距離感を調節しながら伴走して見守る

ことが、高校以降で伸び続ける、伸びとどまらない子供を育てるうえでとても重要だと思います。
そんなこんなで、紆余曲折を経ながらも息子は成長し、今は立派に社会人をしております。
英語はなんと、わたしを追い越しました。そのお話は、また機会をあらためて。

最後までご覧いただきありがとうございました。              

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