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今回のグローバルなキャリアのご紹介は、同じセブ島の地で語学と異文化体験留学のアカデミーを創設された匹田美由紀(ひきたみゆき)さんです。
カナダの大学へ進学したきっかけや、卒業後、現地へ残り起業した理由。
最近、立ち上げた事業を通して思い描いていることなどを聴かせていただきました。
【匹田美由紀さんのプロフィール】
愛知県の公立高校を卒業後、カナダ・バンクーバーの大学・国際教養学科へ留学。卒業後は現地に残り衣料店を経営。帰国後は、株式会社イッセイミヤケに入社。
都内外資系企業での社長秘書や広報業務等を経て、英語学習のアカデミーを運営する株式会社HOGARを設立。セブ島で文化体験留学を提供するHOGAR ENGLISH ACADEMYを開校。プライベートでは小学生3人の母親。
- 海外の大学には、どのようなきっかけで行かれましたか
- 保護者の方の反応はいかがでしたか
- 留学先ではどんな驚きや学びがありましたか
- 卒業後はカナダで起業されたのですね
- カナダの大学を卒業後も現地に残り、異国の地で起業してアパレル経営。どのような苦労や喜びがありましたか
- 帰国後は仕事やライフスタイルの変化もありましたね
- セブ島で事業を立ち上げようと決意された経緯を教えていただけますか
- 実際に事業開始に向け動き始めていかがですか
- 海外の大学での経験はどのように活きていますか
- 語学だけでなく異文化交流に力を入れている想いと繋がっていますね
- 幼い頃から多様性に触れるために、家庭で工夫できることはありますか
- 実際に匹田家では、どのような取組をされていますか
- 近い将来の希望などどのようにお考えですか
海外の大学には、どのようなきっかけで行かれましたか
物心がついたときには海外に憧れを抱き、自然と英語に興味を持ち始めました。
小学5年生の時、英会話教室に入ったのが外国語との初めての出会いでした。
当時は愛知県の田舎暮らしで、父親は愛知県職員として公務員業に従事、母親はメーカー会社で正社員。
育った環境は海外とは無縁であったにも関わらず、自身の興味はその頃から海外に向いていました。
高校1年の夏で人生初の海外を経験し、カナダへのホームステイプログラムに参加しました。
文化や人、言葉そして目にするもの全てが日本と違うことに衝撃を受け、更に私の海外への関心は止まりませんでした。
高校卒業後の進路を海外に決めたのも、私個人にとってはごく自然な選択だったと思います。
保護者の方の反応はいかがでしたか
先述の通り、愛知県の田舎で生活をしてきた両親にとっては、海外どころか東京でさえも、遥か遠い場所と感じるタイプの人でした。
私からカナダに行きたいと聞いた時には、「生きた心地がしなかった」と後で言われました。
当時の両親には渡航経験もなく、「自分の子供が宇宙にでも行ってしまうかのようだった」と何度も言われました。(笑)
しかし私のカナダ留学をきっかけに、両親もカナダやシンガポール、韓国など海外旅行を楽しむようになり、行動範囲が広がりました。
留学先ではどんな驚きや学びがありましたか
同じ地球上に存在する国家といえ、国が変われば文化や言語、宗教や法律すべてが変わり、生活するうえでの常識も変わってきます。
裸で飛び込んだ18歳の私には、毎日が刺激で溢れていました。
学校では、先生のことを苗字で〇〇先生とは呼ばず、下の名前を呼び捨てで呼ぶことに驚きを隠せなかったのを鮮明に覚えています。(当時の日本ではありえませんでした。)
当時、強く感じたこととしてカナダという国は、人と人との距離感がとても近いということ。
先生と生徒であっても、フレンドリーに何でも本音で話せたり、スーパーで会った見ず知らずの方とでも気軽に会話が始まったり。
この遠慮のない距離感を私は居心地がいい、人間らしいなと強く感じたのです。
人の評価を気にすることなく、自分らしく生きている姿が、遠慮がちな日本とは少し違い、カナダの魅力だと感じました。
卒業後はカナダで起業されたのですね
帰国後、皆とお揃いの黒いスーツを着用し、何社も面接を受ける自分の姿が想像できず、日本に帰国してからの生活がなかなかイメージできずに悩んでいました。
そんなとき、興味のあったアパレルの経営をするチャンスに恵まれ、一年だけという約束で両親から許しを得て起業する道を選択。
経営の知識や社会経験など全くない私でしたが、それでも大家さんとの家賃交渉からシアトルへの商品買い付け、接客など全て見よう見まねでこなす日々でした。
5ドルで仕入れた古着が、付加価値を付けることによって30ドルで売れる仕組みと喜びをこの時初めて異国で経験することになったのです。
異国の地での経験からどのような道を歩まれるのか、次回も楽しみにしていてくださいね。
カナダの大学を卒業後も現地に残り、異国の地で起業してアパレル経営。どのような苦労や喜びがありましたか
目の前にあることを一つ一つこなして行く事で精一杯だったため、運営面では苦を感じたことはなかったと思います。
ただし、日本にいる両親に運営の現状や進捗を伝えることが一番苦労したかもしれません。
日本にいる両親にとっては全てが未知のこと、私が電話でいくら説明をしても不安は尽きなかったそうです(笑)
また、来店するお客様の大半はカナダ人であったため、英語での接客が必須でした。そのため、接客で使う会話術を学ぶためにダウンタウンのお店に敵情視察に行き、習得した言葉をつかって接客をする日々。
ただ店内を見たい方、試着をしたい方、会計の際に値切ってくる方、本当に様々なお客様を接客することで、コミュニケーションをとることは得意になったと思います。
少しずつリピーターが増えて行き、お店でパーティーを開催したこともありました。
運営全てを自分の力で成し遂げたことは自信にもなりました。
帰国後に受けた企業面接でも、面接官からカナダでの経営経験については必ず質問されるほど、ある意味私のキャリア経験の中でも自信を持って言える経験になっているのかもしれません。
帰国後は仕事やライフスタイルの変化もありましたね
帰国直後は、グローバルに活躍されていたデザイナー三宅一生さんの会社に就職し、その後も語学や海外経験を活かすことができる都内の外資系企業等に務めていました。
日本語教師の資格も取り、日本語学校で働いていた時には、母国語を外国人に教える大変さと楽しさを経験しました。
結婚と妊娠を機に都内から実家のある愛知へ移住。
3人の子供がまだ幼い時は、仕事をなるべくセーブしながら子供との時間を優先していました。
セブ島で事業を立ち上げようと決意された経緯を教えていただけますか
お金や労働時間などの条件面だけではなく、自分の経験をもとに情熱を注げると確信したことが理由です。
島国で暮らす日本の方に、異文化を体験することで広い視野を持てること、多様性を理解できる機会を提供したいという想いがきっかけです。
コミュニケーションのツールとなる英語学習、そして異文化体験学習、このふたつを提供するアカデミーをセブ島で開校する決意に至りました。
文部科学省のもと、現代の日本の教育は素晴らしいと思っています。
識字率をみても日本はトップに位置し、優秀で真面目な国民性であり、学校の教師に渡される指導要領も完璧です。
しかし、知識を詰め込むことを中心とした受験対策の学習スタイルだけでは、教育の自由度は失われ、子供達の個性や探求心が薄れていってしまうのではと思うことがあります。
自分が母親となり、自分の子供だけではなく、日本の将来を担う多くの子供達に異文化体験を通し、自分の目で観て、肌で感じたことで何かを得る機会になってほしいと思っています。
実際に事業開始に向け動き始めていかがですか
毎日が勉強です(笑)
スタッフや仕事で関わる方々はフィリピン人が大半を占め、毎日英語でのコミュニケーションが必須となり、常識や国のルールも違うため、私自身スタッフに教わることも沢山あります。
幸いスタッフも携わる会社の方々も素晴らしい方々が多く、問題が起きても必ずポジティブに物事を捉え、一歩一歩解決することができています。
特に、セブの方々と一緒に仕事をすればするほど温かい人間味のあるセブの魅力に魅了されています。
幸い、今のところ無意味な人間関係で悩んだことも、仕事がしたくないと思ったことも一度もなく、この環境に感謝しかありません。
ー7月には東愛知新聞にも掲載ー
海外の大学での経験はどのように活きていますか
何よりも日本人としての誇りが持てるようになった事は、大きな財産だと思っています。
自国の文化や魅力を理解し、日本人としての誇りが根底にあってこそ、はじめて外で起きる物事を判断できるようになると考えています。
海外での視野を身につけると、自国の価値観に捉われず、相手の国の価値観も理解できるようになります。
こうした視野を養うことができたからこそ、国籍や年齢、性別を問わず多くの方々と仕事をする機会に恵まれました。
客観的に日本を観たことで、日本の魅力に気づき、愛国心を持つことができ、こうした考え方から結果的に自分自身を愛することにもつながっていると思います。
語学だけでなく異文化交流に力を入れている想いと繋がっていますね
外国語は海外の方とコミュニケーションをとるためのツールとして必要になるため、
その方に合った学習法でマンツーマンレッスンを受講する機会を提供しています。
一方で、身に着けた英語をつかって自国以外の文化を体験することが非常に人生に役立つと思っています。
アカデミーをセブの私立学校の校舎内に設けることで、現地の学校に通っているのと同じ環境で、レッスンを受けられます。
広い校庭にそびえ立つマンゴーの木、図書館、PCルームやカフェテリアなど校内を探検できます。
これは日本の学校との違いや魅力など、ご自身の目で見て感じてほしい!という想いからです。
そして午後は教室を出てセブの社会密着型の異文化を経験して、教会、博物館、図書館、工場、ビーチや有名観光地をはじめ、孤児院や老人ホームなどでボランティア活動も小さなお子様からシニアの方まで経験することができます。
教科書一辺倒の授業からでは学ぶことができない学習や経験をHOGARで実現できると思います。
幼い頃から多様性に触れるために、家庭で工夫できることはありますか
多様性の理解とは、人との違い(国籍、性別、年齢、宗教、文化や価値観など)を受け入れ、人それぞれが持つ個性を尊重すること。
人は誰しも自分自身を軸にして物事を捉えるため、自分の周りだけをみていると狭い視野でしか物事を捉えることができません。
そのような価値観を教科書や本から学ぶのではなく、幼い頃からごく自然に持つことができたら、柔軟な考え方ができる子どもに成長すると思っています。
子どもの頃は特に環境作りが大切です。
例えば、年齢、性別や国籍問わずいろいろな人と触れ合うことができるイベントに参加してみたり、多国籍のレストランに行って世界各国の食べ物に挑戦してみたりするのも親子で楽しむことができます。
私の娘は、ファッションやお洒落に興味があるため、各国の民族衣装が載っている本をみながら意見交換をしたこともあります。
海外にまで行かなくても十分、子どもの興味がある物を切り口にしながら多様性に触れる機会は身の回りに溢れています。
いまの時代、ネットやオンラインをうまく活用しながら行うのも良いかもしれません。
実際に匹田家では、どのような取組をされていますか
長女は3歳の頃からバンコク、ジャカルタ、グアムなどを旅しています。
次女、三女もセブ、台湾などのアジア諸国へ出かけ、その土地の人や香り、食べ物などの文化に触れさせてきました。
ただ旅行をするだけではなく、短期間で開催しているサマープログラムに参加し多国籍のお友達と触れ合う機会をつくったり、職業体験ができるイベントに参加したりしています。
子どもは非常に柔軟性があり遊び心を持つ天才なので、勝手に海外のお友達とでもプールで遊び始めたり、手をつないで走り出したりと、豊かな行動をすることができます。
セブの学校にビジター入学をした際は、たった半日でクラスメイトのお友達と仲良くなりました。
お手紙の交換をしたりお互いのランチを交換し合ったりと、子どもは一瞬でお友達を作ることができます。
こうした環境作りは海外だけではなく国内でも同様に、自宅では海外の文化であるハロウィーンパーティを企画したり、多言語プログラムに参加したりしています。
幼児期はグローバルな環境にあるインターナショナルスクールに通わせました。
「人はそれぞれみんな個性があり、それぞれの考え方を持っている、違って当たり前なんだよ。」と、自分の子ども達との会話のなかで、常日頃から意識的に伝えるようにもしています。
そして何よりも子ども達が楽しみながら探求心を持てるよう、夫婦で日々子育てを楽しんでいます。
近い将来の希望などどのようにお考えですか
子ども達の将来に関しては、環境の基礎を整えることまでは親の仕事であると思っていますが、その先については子ども達自身が決め、その選択を尊重したいと思っています。
偏差値に追われ、知識を詰め込むだけではなく、本当の意味で「学ぶ」ことを知り、得た知識を自分なりに使いこなせるようになってほしい。
世間一般でいう優秀な子を目指すのではなく、これからの時代で求められるような創造的な考え方をもてると良いなと考えています。
そして、遠回りをしてもいつか自分が夢中になれる、情熱を注ぐことができる事のために人生の時間をつかってくれたら親としては本望です。
一方、自身の経営するアカデミーは、お子様からシニアの方まで多くの方に体験を通して何かの気づきになってほしいと思います。
異文化に触れることで、視野は広がり、様々な価値観を受け入れることができるようになるため、自分の子ども達だけではなく、多くの方にそう感じてほしい。
フィリピンの一部では、貧困をはじめとした医療、インフラや労働など社会問題を抱えています。
国際的な課題や社会全体の発展のために、微力ながらも何か力になりたいと思い、孤児院や養護施設などと提携をしています。
英語教育を通して、異文化間の相互理解が進むと良いなと思っています。
最後までご覧いただきありがとうございます。
アカデミーに興味をお持ちになった方は Hogar English Academyへご連絡してみてくださいね。
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