くるみん認定取得の進め方と2025年4月からの改正点

キャリアと制度

ブログをご覧いただきありがとうございます。

中小企業のPRに役立つ認定制度活用ガイドを書きました。
その中で最初に記載しました、くるみんマークを取り上げています。

・くるみん認定とは?
・中小企業がくるみん認定を目指すメリット
・3つのくるみんマークの違いと難易度

今回はその続きです。

くるみん認定取得への具体的な進め方

厚生労働省の資料に詳細が記載されていますので、必要な方はしっかりご覧ください。
くるみん認定・プラチナくるみん認定取得までの流れ

こちらでは、おおまかな流れを記載しています。
まず、くるみん認定は、「一般事業主行動計画」の策定と実行から始まります。

常時雇用する従業員が100人以下の企業は策定・届出は努力義務ですが、認定を目指すなら策定
した方が良いと思います。

1. 現状把握と課題設定
まず、自社の退職・残業状況、従業員が仕事と家庭の両立で抱える不満や課題をヒアリングします。

2. 行動計画の策定
現状分析に基づき、目標、対策、実施期間を具体的に定めます。
目標は「令和〇年までに男性の育児休業取得率を〇%とする」のように、数値目標が必要です。
今年度(2025年)からは、男性育休30%達成を視野に入れた現実的な計画を立てましょう。

3. 周知・公表と届出
計画を策定したら、概ね3ヶ月以内に従業員に周知し、一般公表した後、都道府県労働局に届け出ます。

4. 実行と申請
行動計画を実施し、認定基準(2025年4月以降の最新版)をすべて満たしたら、都道府県労働局に申請します。

〈認定の過程で発生するコスト〉
育休代替職員の給与、求人広告費、就業規則改定費用、勤怠管理システム導入費用などは、くるみん助成金の対象となる可能性があります。
資金面での支援を積極的に活用しましょう。

くるみん認定は、子育て支援だけでなく、「すべての社員が能力を発揮できる会社」を目指すための決意表明です。
新しい基準をクリアすることは挑戦ですが、それが社員の信頼と、企業の持続的な成長につながる道になっています。

令和7年(2025年)4月1日からの主な改正点

2025年4月1日から、くるみん認定基準が改正され、認定を目指す企業にはより高い水準の取り組みが求められます。

1. 男性育児休業取得率の引き上げ(目標値の劇的な変化)

認定を左右する最も大きな変更点です。従来の「くるみん」認定に必要な男性の育児休業取得率が、10%から30%に大幅に引き上げられました。これは、男性が育児に関わることが社会の標準となりつつある流れを反映しています。

※経過措置の利用: この改正基準は令和7年4月1日から適用されますが、2年間は経過措置が設けられています。
準備期間として猶予がありますので、この間に具体的な取得促進策(例:育休の有給化など)を計画的に実施する必要があります。

2. 女性労働者の「有期雇用」への対応強化

女性労働者の育児休業取得率75%以上という基準は維持されますが、これに加えて、育児休業等を取得できる女性有期雇用労働者(パート、契約社員など)の取得率も75%以上であることが、すべての認定種類(くるみん、プラチナくるみん、トライくるみん)に共通の基準として追加されました。多様な雇用形態の従業員が安心して働ける環境整備が不可欠となります。

3. 働き方に関する基準の厳格化(残業時間)

長時間労働の是正も重要視されています。
くるみん認定において、すべてのフルタイム労働者一人当たりの各月ごとの法定時間外労働、および法定休日労働の合計時間数が、平均で各月30時間未満であること。
または25歳から39歳の平均で各月45時間未満であることが新たな基準となりました。
これは、従来の「45時間未満」という基準から大幅に厳格化されており、より徹底した業務効率化が不可欠となります。

💡3つのヒント

「男性育休の有給化」を検討する
2025年の改正により、基準達成には男性育児休業等取得目標が30%に引き上げられました。
男性側が取得しやすくするために、育児休業の最初の数日を有給とする制度の導入は有効です。
これはくるみん助成金の対象経費(給与・賃金)となります。
従業員の経済的・精神的負担を軽減し、育休取得への心理的なハードルを下げることにつながります。

「時間外労働の30時間未満目標」をIT投資で実現する
くるみん認定の新たな要件である厳格化された残業時間基準(平均30時間未満)をクリアするため、IT投資を行うことが近道になります。
例えば、勤怠管理システムや電子印鑑システム、クラウド型サービスの導入など、業務効率化に関連するITで一人一人の負担を軽減する。
これらの経費も助成金の対象となり得ます。

非正規雇用の「育休取得率75%」達成を計画の柱に
2025年改正で有期雇用労働者の育休取得率75%が追加基準となりました。
パート・契約社員を含むすべての従業員に対し、制度を周知するための工夫が求められます。
社内研修を実施し、雇用形態に関わらず安心して休業できる体制と風土を整備することが、今後の認定取得の前提となります。

*最新情報は、必ず厚生労働省のHPをご確認ください。
厚生労働省 くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて