ブログをご覧いただきありがとうございます。
前回は、中小企業にとって、自社の取り組みがPRにもなる認定制度の活用ガイドを書きました。
最後に⇒次は、それぞれの制度の特徴などを見ていきます。
と書きましたが、いや、そうじゃないなと。
先に、外から会社を見ている人にとってどうなのかを書いた方が良いのでは?
そう思い浮かんだのです。
そこで今回は視点を180度転換。
求職者、例えばこれからあなたの会社に応募しようとする人の目線から、認定制度のマークがどのように映るのかを一緒に考えてみたいと思います。
採用市場は、安心感と信頼を測る場でもある
私たちが転職を考えるとき、前の職場で何らかの不満を抱えているケースが多く、次の職場を選ぶ目は、新卒のときよりも慎重になります。
求職者が求めているのは、給与や業務内容と共に、「この会社は私にとって仕事がしやすい場所なのか?」という安心感もあると思います。
認定マークは、企業がウェブサイトや名刺でPRするためのツールになります。
同時に、求職者にとってはその会社が「働きやすさ」や「働きがい」に対して真剣に向き合っているかを判断するための「信頼の指標」となります。
マークの有無やその種類は、応募者が抱える多様なニーズにストレートに響きます。
マークを見ることで、求職者は「入社後のギャップ」を事前に減らすことができると感じるのではないでしょうか。
認定マークが伝えるメッセージ
認定マークから伝わるメッセージ
例えば、求職者はそれぞれのライフスタイルやキャリアプランに沿って、マークを読み解きます。
1. ライフイベントと両立したい人へ(くるみん、えるぼし、トモニン)
子育てや介護と仕事の両立に悩む人は、これらのマークは「制度が整っている」という印象を受けます。
• くるみん(子育てサポート)
• えるぼし(女性活躍)
「妊娠や出産後も、長くキャリアを続けられる制度が整っている」というメッセージに受け取れます。
特に、男性の育休取得率など、具体的な基準を満たして初めて取得できるマークは、「制度が形骸化していない」証として信頼されます。
• トモニン(介護両立支援)
「いつ起こるか分からない介護のリスクに備えている」というメッセージに受け取れます。
介護離職が社会問題化する中で、企業がこの課題に意識を向けているという事実は、中高年層にとって大きな安心材料となります。
2. 成長と働きがいを求める若者へ(ユースエール、健康経営優良法人)
若手や成長意欲の高い人たちは、単に「楽な職場」ではなく、「正しく成長できる環境」を求めています。
• ユースエール認定
これは「中小企業限定」の優良マークです。
若手の育成に積極的で、ブラックではない健全な労働環境があるという安心感があります。
若手社員は、「この会社でしっかりと育ててもらえる」と期待を抱きます。
• 健康経営優良法人
「従業員の健康を経営の基盤と考えている」メッセージを受け取ります。
従業員の健康は生産性と直結するため、このマークは「社員が心身ともに良好な状態で高いパフォーマンスを発揮することを望んでいる」という企業の本気度を示してます。
「マークの裏側」で見える中小企業の強み
求職者は、マークの有無だけでなく、そのマークの裏にある企業の文化や姿勢を見ています。
中小企業がPRすべきは、マークの取得自体よりも、「なぜそのマークを取得したのか」という背景にあるストーリーです。
岩手県の北上市にある岩手基礎工業株式会社さまは、くるみんの他に
いわて子育てにやさしい企業等
いわて女性活躍認定企業等(ステップ2)の認定も受けられています。
従業員42名のうち、女性5名 男性9割の会社です。
〈実際の取り組み〉では
産後パパ育休取得の男性従業員には、請負工事の工期・作業人員配置を調整するこ
とで、支障なく育休を取得できるよう配慮した。
〈今後の取組について〉
・従業員の約9割が男性の為、男性の育児休暇・介護休暇の取得推進を進めます。
・土木建築業界のイメージアップを図っていきます。
と記載されていました。
このような事例が示すように、中小企業には経営陣と現場の距離が近く、理念が浸透しやすいという大企業にはない特権があります。
マークの取得を目指す過程で、経営者が「社員の成長・幸せ」を第一に考え、その想いを制度や具体的な行動で示せば、その「本気の姿勢」こそが、求職者にとっても響くメッセージとなります。
認定マークは、企業が人を大切にするためのお墨付きの証です。
応募者は、その決意が本物であるか、マークを通じて確認しているのではないでしょうか。

