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中小企業の経営者や人事担当者のみなさま、えるぼしマークはご存知でしょうか。
厚生労働省による「女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業」を認定する制度です。
中小企業のPRに役立つ認定制度活用ガイド
でも2つ目に取り上げている注目度が高いマークの一つです。
自分の学びを兼ねて、中小企業にどう役立つか一緒に見ていきたいと思います。
えるぼし認定制度とは?
えるぼし認定は、女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)に基づき、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良であると認められた事業主に対し、厚生労働大臣が与える認定マークのことです。
この認定は、企業が女性の個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に貢献していることを対外的に証明するものです。
えるぼし認定を目指すメリット
中小企業がえるぼし制度を目指すことで得られる、特に大きなメリットを3つご説明します。
1. 採用競争力の飛躍的な向上
えるぼしマーク(シンボルマーク)を名刺や広告、自社の商品などに使用できるため、「女性が活躍できる働きやすい企業」であることを外部に分かりやすくアピールできます。
これにより、人材獲得競争が激化する中で、求職者(特に女性やワーク・ライフ・バランスを重視する層)への訴求力が強まり、優秀な人材の確保につながることが期待されます。
2. 公的な調達・融資における優遇措置
国や地方公共団体が実施する公共調達(入札)の際、価格以外の要素を評価する調達において加点評価の対象となります。
さらに、日本政策金融公庫が実施する低利融資(働き方改革推進支援資金)を利用する際、金利の引き下げを受けることができます。
これは、限られた経営資源で事業拡大を目指す中小企業にとって、具体的な財政的支援となります。
3. 組織の健全化による定着率と生産性の向上
えるぼしの認定基準には、「労働時間等の働き方」として、全従業員の法定時間外労働および法定休日労働の合計を各月すべて45時間未満に抑えるという厳しい基準が含まれています。
この基準達成に向けて業務効率化や長時間労働の是正に取り組むことで、社員の働きがい(エンゲージメント)が高まることが期待されます。
結果として人材の定着率が改善し、組織全体の生産性向上に直結します。
認定の前提
えるぼし認定を受ける大前提として、企業は一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出る必要があります。
この行動計画は、自社の女性の活躍に関する状況を把握・分析した上で、数値目標(例:採用人数〇人以上、平均残業時間〇時間以内など)を定めて策定します。
計画期間は2年から5年の中期計画とすることが望ましいとされています。
えるぼし認定の3つの段階とプラチナ
えるぼし認定の審査は、以下の「5つの評価項目」を満たしているかどうかで決まります。
認定の段階を決めるのは、以下の5つの評価項目です。
| 評価項目 | 認定基準(概要) | 中小企業への意義 |
| 1. 採用 | 男女別の競争倍率が同程度であること、または正社員・基幹的な雇用管理区分における女性割合が産業平均値以上であること。 | 入口の平等性を確保し、多様な人材の獲得を目指す。 |
| 2. 継続就業 | 女性労働者の平均継続勤務年数が男性労働者の0.7倍以上であること、または継続雇用割合が0.8倍以上であること。 | 定着率と男女のキャリア形成の公平性を測る。 |
| 3. 労働時間等の働き方 | フルタイム労働者の法定時間外労働および法定休日労働時間の合計が、直近の事業年度の各月すべてで45時間未満であること。 | 長時間労働の是正が、全ての従業員の健康と両立支援の基礎となる。 |
| 4. 管理職比率 | 管理職(課長級以上)に占める女性の割合が産業平均値以上、または課長級への昇進率が男性の0.8倍以上であること。 | 昇進・昇格の公平性と、女性リーダーの育成状況を測る。 |
| 5. 多様なキャリアコース | 直近3事業年度で、以下のうち1項目以上の実績を有すること(中小企業の場合)。 | 柔軟な働き方と成長機会を提供し、多様なキャリアを支援する。 |
【多様なキャリアコースの具体的な実績例(中小企業は1項目以上)】
• 女性の非正社員から正社員への転換(派遣からの直接雇用も含む)
• 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
• 過去に在籍した女性の正社員としての再雇用(出産などで離職した女性の再雇用)
• おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用(中途採用)
認定の段階について
評価項目のうち満たした基準の数に応じて、以下の3段階の認定が与えられます。
〈段階別認定基準一覧〉


| 認定の種類 | 満たすべき 5項目(柱)の数 | 認定の条件・特徴 (誰でも分かる言葉で) | 認定マークのイメージ |
| えるぼし (1段階目) | 1つまたは2つ を満たす。 | まず一歩を踏み出した企業に与えられます。満たせていない項目があっても、改善に向けた具体的な取り組み(行動計画に定めたもの)を実施し、2年続けて実績が良くなっていることが必要です。 | 星が1つ (オレンジ色) |
| えるぼし (2段階目) | 3つまたは4つ を満たす。 | 女性活躍への取り組みが順調に進んでいる企業に与えられます。満たせていない項目についても、1段階目と同様に2年連続で実績が改善している必要があります。 | 星が2つ (赤色) |
| えるぼし (3段階目) | 5つの基準すべてを満たす。 | 5つの重要分野すべてにおいて、女性が活躍できる環境が整っている、優良な企業であることを示します。 | 星が3つ (ピンク色) |
| プラチナえるぼし (特例認定) | 5つの基準すべてを満たす(3段階目よりも高い水準が求められる項目あり)。 | えるぼし認定(1~3段階目)を受けた事業主のうち、特に優良な取り組みを実施している企業に与えられる最高の認定です。以下の追加の厳しい条件をすべて満たす必要があります。 1. 行動計画で定めた目標をすべて達成している。 2. 女性活躍推進法に基づく8項目以上の情報公表を毎年実施している。 3. 男女の賃金の差異の状況を把握している。 4. 求職者等に対するセクハラ防止措置の内容を公表している。 | 星が複数 (シルバー/プラチナ) |
※全ての認定段階において、満たした基準の実績値は「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表する必要があります。
重要な補足
1. 改善への意欲の評価
1段階目や2段階目であっても、満たせていない項目について、ただ「目標未達」とするのではなく、2年以上連続して実績が良くなっている(改善傾向にある)ことが求められます。
これは、現在不十分でも、企業として改善し続ける意欲と努力を評価する仕組みです。
2. プラチナ認定の優遇
プラチナえるぼし認定を受けると、一般事業主行動計画の策定・届出の義務が免除されます(代わりに毎年、取組状況を公表します)。
この多段階の評価システムは、中小企業が「できることから一つずつ」取り組みを進め、最終的に高い水準を目指すためのロードマップとして機能します。
*最新情報や詳細については、厚生労働省のHPをご確認ください。
前回のくるみんマークから一つずつ取り上げています。
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認定取得の進め方と2025年4月からの改正点
