人的資本経営を現場につなげる〜中小企業を取り巻く3つの大きな変化~

事例

ブログをご覧いただきありがとうございます。

「人的資本経営」という言葉を聞くと、「大企業がやることだよね」「情報開示の義務がある上場企業の話」だと思い、難しい話だと感じてしまうという声を耳にします。

実際に、フォーバル GDXリサーチ研究所の調査によりますと
・人的資本経営に取り組み意欲を示している中小企業は 48 .6%
・十分に取り組めている企業は3 .2%  
・詳細に理解している企業は3 .8%   
これが現状のようです。

しかし、急速なデジタル化(DX化)や社会構造の変化、何よりも深刻化している人手不足という課題に直面する今、社員一人ひとりの力を最大限に引き出す「人的資本経営」は、決して大企業のためだけの経営手法ではありません。

むしろ、限られた資源の中で最大のパフォーマンスを発揮したい中小企業が、この考え方を基盤として、持続的な成長を実現する機会をつかむことができると感じています。

中小企業にとって、人こそが最大の財産です。
 人を「コスト(費用)」として見るのではなく、将来の成長のための「資本(投資対象)」として捉え直す。
これが、人的資本経営の基本的な考え方です。

この考え方は、古くから日本に根づく「企業は人なり」という哲学を、今の時代に合わせて戦略的に実践するものとも言えます。

私自身も人的資本経営を現場につなげようと学び始めたので、読者のみなさまと同じ目線で、具体的な取り組み方のヒントを一緒に見つけていきたいと思っています。

「人への投資」が今、中小企業で注目される理由

まずは、なぜ今、「人への投資」=人的資本経営がこれほどまでに重要なのでしょうか。
その背景には、企業を取り巻く3つの大きな変化があります。

深刻な人手不足と採用難

少子高齢化が進み、優秀な人材の獲得競争は激化しています。給与やブランド力で大企業と勝負するのは難しいかもしれません。

しかし、社員の成長を後押しする・人を活かす経営姿勢を情報として発信できれば、企業の規模に関係なく、「この会社で働きたい」と思ってもらえるようになります。

働き方や価値観の多様化

働く人の価値観は、給与だけにとどまりません。
働きがいや自己成長の機会、健康的な働き方などが重視されています。
男性の育児休業取得率も40.5%で過去最高(2024年度雇用均等基本調査より)となっています。

多様な働き方(テレワーク、柔軟な時間制度など)を導入し、一人ひとりの能力を最大限に引き出す環境づくりが求められています。

法改正を「成長のきっかけ」に変える

2019年からの「働き方改革」の推進により、私たちは適切な労働時間管理や労働環境の整備が求められました。
特に、時間外労働の上限規制(残業削減)への対応は大きな課題でした。

残業時間を減らしただけでは、会社の競争力が落ちてしまいます。
そこで求められるのが、減った労働時間分を生産性向上で補うことです。
人的資本経営は、この生産性向上を戦略的に実現するための鍵となります。

今後は、下記のような法改正も実施・予定されています。
2025年 育児介護休業法・雇用保険法
2026年 女性活躍推進法・労働安全衛生法・障害者雇用促進法
2027年 労働基準法 など

一見「義務対応」で大変そうに見えるこれらの法改正も、「会社が成長するチャンス」と捉えることができるのです。

💡うちでもマネできるヒントを探そう

当サイト みんなの働き方ラボ でも「うちでもマネできるヒントを探そう」というコンセプトで、具体的な事例をご紹介しています。

例えば
社員の成長が会社の新しいビジョンと事業創出につながった御津電子株式会社さま
人数が少ないこと を強みに変えてユニークな人事評価制度を導入された岩田商事株式会社さま
働きやすい職場環境の実現を目指し健康経営優良法人にも認定された株式会社利根川産業さま
など、業種や規模を問わず、それぞれの課題に応じた創意工夫で成果を上げている事例があります。

実際の事例を拝見すると、よりリアルにイメージが描けて参考になると思います。
(これからも、たくさんご紹介していきたいので、うちでもやっているよ!の会社さまはぜひご連絡いただけたら嬉しいです。
もちろん、やってみたい!のお声もお待ちしております。)

次回は、中小企業が人を活かす経営に取り組む3つのメリットについて お話させていただきますね。