「持続可能なハードワーク」後半のパネルディスカッション リーダーの行動が社会を変える

キャリアと制度

ブログをご覧いただきありがとうございます。

先日、株式会社ワークライフバランスさまによる「持続可能なハードワーク」の講演を拝聴しました。
今回は、後半のパネルディスカッションの要点をまとめてみました。
言葉が足りないなど諸々あるかと思いますが、まずは要点が伝わると良いなと思っています。

内容は以下のようになっています。
1. オープニングトーク
  株式会社ワーク・ライフバランス コンサルタント 大畑愼護氏
2.“がむしゃら”から“戦略的情熱”へシフトする「持続可能なハードワーク」とは?
  株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長 小室淑恵氏
3.パネルディスカッション
  TAZ Inc. 代表取締役社長 ジーンクエスト 取締役ファウンダー 高橋 祥子氏
  株式会社Cradle 執行役員CRO 留目 広志 氏

4.質疑応答・エンディングトーク

3のパネルディスカッションの部分です。
司会:大畑 愼護氏 (株式会社ワーク・ライフバランス コンサルタント)
登壇者:高橋 祥子氏 (TAZ Inc. 代表取締役社長 / ジーンクエスト 取締役ファウンダー)
登壇者:留目 広志氏 (株式会社Cradle 執行役員CRO)

成果を出すための鍵となる行動

睡眠の確保を最優先 (高橋氏)
①以前、長時間労働で倒れた経験あり。
 現在はGoogleカレンダーに8〜9時間の睡眠をタスクとして予約。
②経営は、短距離走ではなくマラソン
③認知資源※の活用:資料作成やアイデア出しなど、今の仕事は認知資源の鮮度が高い短時間で行う方が成果が出る。
④長時間労働は成長ではなく反復。
⑤成長は難しい課題への挑戦で生まれる。
 ※認知資源→注意や思考、判断といった知的活動を行うために必要な、脳の有限なエネルギーの こと
役割集中と権限委譲
①意思決定とミッション作り」に集中し、他業務は積極的にチームへ委ねる。
②出産を機に「自分にしかできないは幻想」と気づいた。

AIの活用(留目氏)
①思考のスピードはタイピング速度を上回る。
 音声入力とAIを組み合わせ、脳内の速度でアウトプットする。
②組織内のAI活用を促進するため、リーダー自身が使いこなす。
 良い事例を賞賛することで文化として定着させる。

チームづくりとマネジメント

心理的安全性と1on1
①相互尊敬に基づいて、仕事だけでなく人生や家族について聞く傾聴型1on1を実施。
 信頼関係と心理的安全性を築く。
②チームメンバーのパフォーマンスを1.1倍にする方が、自分の努力(1.5倍)よりも圧倒的に成果が出ると考え、全員が誰かの1on1を行う仕組みを導入。

長時間労働の是正と指導
①長時間労働を志向するメンバーに対しては、その原因を徹底的に話し合い、どうすれば短時間で成果を出せるかのロードマップを一緒に設計する。
②部下への会話でハラスメントを恐れる場合、「相手の人生の成功のために話している」という当事者意識を持つことが、会話のブレイクスルーにつながる。

権限委譲の基準
①完成度8割でOKな仕事(資料作成など)は思い切って委譲し、育てる視点で受け止める。
②一生に一度のプレゼンなど、絶対に失敗できない仕事は、自分でやるか、事前に100%になるための準備を共に行う。

日本社会への提言とメッセージ

長時間労働自慢は「ダサい」
 高橋氏は、アイデアやアウトプットが価値を生む現代において、「寝てない自慢」は労働主役型だった古い時代の価値観であり、本当にダサいと断言。

人口オーナス期に「残業緩和」は自滅行為

①長時間労働を前提とすると、育児・介護・病気などのライフイベントを抱える多くの人材が社会参加できず、国力が衰退する。
②短時間で成果を出せる社会に転換しないと、支える人が加速的に減る。
 労働規制緩和の議論は自滅へ向かう方向性である。
③国は残業を安くする現行法(割増率1.25倍)を見直し、”短時間労働者を雇う方が安くなる”ようなインセンティブ設計(割増率1.5倍への引き上げなど)が必要。

リーダーの行動が社会を変える

①組織の上層部や目立つ立場の人が、長時間労働を良しとする振る舞いをすると、周りも「それが求められている」と感じてしまい、短時間で働くというムーブメントが起きない。
②リーダーこそ「短く濃く働く」姿を見せることが、日本の成長に必要なイノベーションを生む。多様な人材を確保するための土台になると強調した。

前半の小室淑恵氏による講演はこちら↓
“がむしゃら”から“戦略的情熱”へシフトする「持続可能なハードワーク」とは?

ベンチャー企業の若手役員の方が考える働き方。
どう考えられましたか?
個人的には、25年以上ライフイベント(結婚・出産・育児・介護など)の相談を受けてきて、途中でやめざるを得なかった方々の姿が目に浮かびました。
本人の「続けたい」という想いが、今だったら叶うのかもしれない。
労働力人口の中に、多様な働き方ができる人が入ってきている今なら。
多くの人が社会参加できるようになってほしいと改めて感じました。

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