ユニークな人事評価制度の岩田商事 中小企業の人的資本経営の事例をご紹介③

事例

ブログをご覧いただきありがとうございます。

中小企業の「人的資本経営」の事例を一緒に見ていきたいと思います。
名付けて、うちでもマネできるヒントを探そうシリーズ。(もっと良いネーミング募集中)

今回、私たちがヒントを探るのは、中小企業庁の人的資本への投資と組織の柔軟性、外部人材の活用の事例として紹介されている岩田商事株式会社さまです。

危機感から生まれた「人を伸ばす」哲学

ガソリンスタンド経営を行う岩田商事が、特別な費用をかけずに社員のモチベーションと競争力を高めた具体的なヒントを探ってみましょう。

社長の岩田氏は、「個々の社員の能力を伸ばすことが、自社の競争力を高める」信念を持っています。
これは、従業員数が少ない中小企業では特に重要で、一人ひとりのスキルが向上することがそのまま企業価値の向上につながるからです。

しかし、どんなに素晴らしい哲学でも、それを現場で実現する「仕組み」がなければ形骸化してしまいます。
岩田商事も以前は人事評価制度がありましたが、あまり機能していませんでした。

せっかく社員が頑張っても、評価が納得できないものであったり、成長につながらないと感じてしまえば、働く意欲(エンゲージメント)は低下してしまいます。
そこで同社が着手したのが、この人事評価制度の抜本的な見直しでした。

評価を「道しるべ」に変える発想の転換

岩田商事が導入した新しい人事評価制度の最大の特徴は、その柔軟性です。
従来の多くの制度では、全社員に対して同じ評価基準を適用します。
しかし、それでは「誰にでも当てはまる平均的な人材」を求めることになり、個々が持つ多様な強みや才能が埋もれてしまいがちです。

岩田商事は、この常識をひっくり返しました。
すべての従業員が同じ評価基準で測られるのではなく、従業員一人ひとりが「自分が伸ばせる長所や才能」を評価項目に自由に加えることができるようにしたのです。
これにより、評価は「会社から与えられる点数」ではなく、「自分の成長を見つめ、目的意識を持って働くための道しるべ」へと劇的に変わりました。

「会社が自分を型にはめるのではなく、私の個性や成長したい方向性を応援してくれている」
安心感と共感が生まれ、社員は自律的に仕事に向き合うようになります。
結果として、従業員は目的意識を持って働ける環境が整いました。

中小企業にとって、多額の予算をかけて外部研修を行うことは難しくても、既存の制度や仕組みを「社員が主役」になるように工夫し直すこと。
岩田商事の評価制度は、その「ひと工夫」が、社員の心と会社の競争力を大きく変える事例になっています。

💡3つのヒント

1. 「成長の主役」は社員自身
評価制度が形骸化していないかを見直し、社員一人ひとりが自ら「伸ばしたい才能やスキル」を評価基準に加えられるなど、個人の成長とキャリア形成に寄り添う仕組みを取り入れています。

2. 経営者の哲学を「仕組み」に落とし込む
「社員の能力向上こそが競争力になる」経営者の考えを、スローガンで終わらせずに人事評価や育成プランといった具体的な制度に紐づけています。

3. 「人数が少ないこと」を強みに変える:
中小企業は意思決定のスピードが速く、柔軟な制度設計が可能です。
部署やチームごとに「働きがい」を高める施策をスモールスタートで実施し、効果を実感しながら広げていくサイクルを回すこともできそうです。

*詳しくはこちらの資料に記載されています。
中小企業庁 HP
第2節 人的資本への投資と組織の柔軟性、外部人材の活用
    事例2-2-5:岩田商事株式会社

*HPはこちら→岩田商事株式会社さま

~これまでご紹介させていただいた企業さまです~
事例① 新たな事業機会にもつながった御津電子株式会社
事例② 株式会社八天堂の人を大切にする経営哲学