人的資本経営を現場につなげる〜人と企業が幸せに成長できる働き方を目指して~

人的資本経営

ブログをご覧いただきありがとうございます。

“人的資本経営” という言葉は、最近よくメディアやセミナーで目にするけれど、「実際の現場でどう使ったらよいのか」なかなかイメージできない。
そんな声をよく耳にします。

社会保険労務士として、手続きや制度設計に関わりながら、「もっと経営視点で人に関わりたい」ともどかしさを感じている先生方もいらっしゃるかもしれません。

私自身、働く母として、また現場で社員や管理職の声を聴く社労士として仕事をしてきた中で、人的資本経営は理論だけではなく、現場に根ざした歩みだと感じています。

本記事では、これからの法改正が義務対応にとどまらず「働き方をアップデートする追い風」になりうるという視点から、人的資本経営を現場に根づかせるヒントをみなさんと一緒に探っていきたいと思います。

法改正は「変化への追い風」

2025年 育児介護休業法・雇用保険法
2026年 女性活躍推進法・労働安全衛生法・障害者雇用促進法
2027年 労働基準法 など

一見「義務対応」で大変そうに見えるこれらの法改正も、実は企業にとっては働き方をアップデートするチャンスになるのではないでしょうか。
人的資本経営の視点から、どう経営に結びつけて未来の成長につなげられるかを一緒に考えていけると良いなと思います。

現場のリアルをどう活かすか

私自身も子育てと仕事で苦悩するワーママ、社員や管理職の相談役の社労士として長く現場を見てきました。
だからこそ人的資本経営は理論ではなく、現場での課題に繋がっていると感じています。

たとえば
エンゲージメント = 育休復帰直後の不安感や孤立感を和らげるには?
 (例)育休後復帰の社員に、復帰前面談+メンタリングでフォローしたら、不安が減り離職
   リスクが低下。

流動性 = キャリアを一時中断しても戻れる方法は? 他の選択肢は考えられる?
 (例)育児や介護などで一度退職した従業員が復職できる「アルムナイ制度」を導入。
    復職後は、社内の文化を理解した上で経験値を活かし即戦力。
    
健康安全 = 働く人の心身の疲れを予防していく方法は?
 (例) 従業員が30人の会社でもストレスチェックを取り入れ、高ストレス者には匿名のカウン
    セリングの案内を始めた。
 
ダイバーシティ = 多様な働き方をどう受け入れていけば良い?
 (例) 従業員には、外国籍・子育て社員・Wワーク希望などが混在。個々の事情により、時差
    出勤やリモートワークにも対応し、離職率低下・人材確保で効果がアップ。

こうした視点を経営者の方と共有しながら、柔軟な働き方を事業成長につなげる対話を進めていくことが大切だと思っています。

下記に整理してみました。

人的資本経営の構図:企業価値創造のサイクル

「人的資本経営」は、社員を「コスト」ではなく「資本(投資対象)」と捉え、投資を通じて企業の価値そのものを高めていく戦略です。

投資とリターンの流れ

経営の視点人的資本経営従来の経営(対比)
社員の捉え方資本 (Capital):投資の対象コスト (Cost):削減の対象

ステップ①:【人的資本への投資】

社員の能力や健康を「資産」とみなし、経営資源を投じます。

人的資本の要素 (投資対象)投資の具体例
知識・スキル研修・リスキリング、資格取得支援
健康ストレスチェック、健康経営施策、メンタルヘルス対策
関係性コミュニケーション改善、チームビルディング、多様な働き方の推進
エンゲージメント評価制度の透明化、ビジョン・理念の浸透

ステップ②:【企業価値の向上】

投資の結果、社員のポテンシャルが最大化され、それが企業の成果へと転換します。

投資による効果 (成果)企業価値への転換
社員のパフォーマンス向上生産性向上、イノベーション創出
離職率の低下採用コストの削減、ノウハウの蓄積
組織力の強化顧客満足度の向上、リスク管理強化

最終的なアウトプット

      人的資本経営
【人的資本】→→→→→→→【企業価値】
       投資・育成

「社員の知識・スキル・健康・関係性」に投資することで、「生産性の向上やイノベーション」を生み出し、最終的に「市場からの評価(企業価値)」として回収するサイクル

これからのこと

まだ学び始めたばかりですが、経営と現場をつなぐ橋渡しとして学びと実践を積み上げていきたいです。
このテーマについて、みなさんのご意見や体験もぜひお聞かせください。
一緒に人と企業が幸せに成長できる働き方を考えていけたら嬉しいです。